お墓の継承問題は、お墓を引き継ぎたくない人にとっては頭のイタイ問題です。
実はお墓は放置できるものではなく、法律的にも責任があるものです。放置することはできません。
ここでは、継承者に決まった・あるいは決まりそうだが、事情があってお墓を継ぐことが出来ない人や、お墓を継ぎたくない方のための対処法をお伝えします。
お墓を継ぐ「継承者」がまだ決まっていない場合はこちらの記事を参考にして下さい。
お墓を継げない人のための、3つ対処法
お墓を継げない人が増えている
ライフスタイルの変化で、「お墓の問題」について見聞きすることが多くなりました。
実際はお墓を継ぐことが嫌なのではなく、他に理由があると言われています。
・お墓のある場所が遠くて不便
・未婚のため跡継ぎがいない
・子供を作らなかったので跡継ぎがいない
・長男長女同士の結婚である
・金銭的に継承が難しい
・体力的に管理が厳しい
etc…
しかし、お墓の継承はそのまま放置することの出来ない問題でもあります。
先祖代々の墓石や遺骨が存在し、寺院に管理費を支払っている現況がある限り、誰かがその責務を負わなくてはなりません。
お墓を継がない3つの対処方法
お墓や法要などのことを取り仕切る人の事を「祭祀継承者」(さいしけいしょうしゃ)と呼びます。
自分が「祭祀継承者」に決まったけれども、引き受けることが出来ないと感じた場合には、3つの対処法があります。
「継承者」を変わってもらう
まず自分の継承権を他の人に渡す、という方法があります。
「祭祀継承者」のは生前でも変更ができるので、
・当事者間の合意
・家庭裁判所への申し立て
の2つの方法で、手続きを進めましょう。
お墓は親から子へ直系だけが引き継がなくてもよく、家族以外の誰が継いでも構いません。
これからは、血縁者や血の繋がりのない親戚などいろいろな形の継承者がでてくるでしょう。
祭祀継承者が次の代として指定したのであれば、友人でも引き継ぐことができます。
「墓じまい」をする
どうしても継ぐことが出来ないというのであれば、祭祀継承者として「墓じまい」の選択をすることも出来ます。祭祀継承者には、お墓などの事一切を決める権利があるからですね。
墓じまいをするためには4つの手続きが必要です。
1.遺骨の移動先を決める
2.寺院へ連絡
3.自治体に改葬の届け出
4.墓石撤去を依頼
遺骨の移動先を決める
お墓を撤去するということは、中の遺骨も移動させなければなりません。(ちなみに遺骨を遺棄すると刑法で罰せられます)
以後引き継ぐ人がいないと言うのであれば、「永代供養」も候補に入れるといいですね。
多くは永代供養墓や納骨堂で合葬することになりますが、誰もお参りすることの無い無縁墓になることがないので安心です。
寺院へ連絡する
墓じまいが決まり、遺骨の受け入れ先もまとまったら、お世話になっている寺院に連絡します。
お墓の石は寺院で「性根抜き」をしてもらってから、解体や移動させます。「性根抜き」とは墓石の中の仏様の性根(魂)のお念仏を唱えてもらう儀式のことです。
その後でお寺と解体工事や、離檀(檀家をやめること)について相談しましょう。
改葬の届け出を出す
遺骨を別の場所に移すときには、自治体に「改葬」にまつわる諸届けが必要です。
<改葬までの流れ>
墓地管理者または寺院より「納骨証明書」を出してもらう
↓
改葬先から「受入証明書」を出してもらう
↓
役所に上記2つの証明書を提出して「改葬許可証」を出してもらう
↓
改葬先に改葬許可証を提出して納骨する
なぜこんなに証明書が必要かと言うと、お墓や埋葬は法律で決まりがあるからなんです。
墓地、埋葬等に関する法律
第 5条 埋葬、火葬又は改葬を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)の許可を受けなければならない。
2 前項の許可は、埋葬及び火葬に係るものにあつては死亡若しくは死産の届出を受理し、死亡の報告若しくは死産の通知を受け、又は船舶の船長から死亡若しくは死産に関する航海日誌の謄本の送付を受けた市町村長が、改葬に係るものにあつては死体又は焼骨の現に存する地の市町村長が行なうものとする。(厚生労働省HP)
墓石を撤去する
墓石を解体して、撤去するには石材店に依頼します。
墓地によって石材店が指定されていることもあるので管理者に確認してみましょう。
実はこの石材撤去が一番費用がかかると言われています。
「納骨方法」を変える
お寺に墓石を構えることが負担であれば、納骨方法を変えるのがよいでしょう。
納骨堂に遺骨を預けたり、樹木葬にしたり、散骨して後に遺骨を残さない方法もあります。
必ず親族との話し合いを

お墓のことは、できれば親族同士で話し合い、同じ思いで継承できればいいですね。
祭祀継承者が自分の都合や判断だけで勝手にお墓を扱うと、トラブルになりかねません。
お墓は無くなった祖先が眠る場所であり、家族の拠り所となるルーツとも言えます。
急いで結論を出すのではなく、協力を仰いだり、役割を分担するなどして円満に解決できる方法を探るのがよいでしょう。