終活の最初の一歩とも言える「エンディングノート」。
どんなことが書いてあるか、何となくわかるけれど、実は詳しくは知らない方が多いのではないでしょうか?
自分に万が一のことが起こった時、大きく役立つのが「エンディングノート」です。
いざということを考えたら、作るのに早過ぎるということはありません。
今回はエンディングノートの3つの役割と、保存する最適な方法をご紹介します。
エンディングノートの3つの役割

終活とは人生の最後(終末)に向けて行う活動のことで、自分の身の回りの生前整理を指します。
「死」というとお葬式やお墓といったイメージがあるかもしれません。
しかし、自分自身で事前に最期の準備することによって不安が解消され、人生にやるべき課題が見つかったり、新しい目標を立てて満ち足りた人生を過ごすことが出来ます。
つまり終活は「自分が死と向き合うことで、さいごまで自分らしい人生を送る準備をする活動」と言えるのではないでしょうか。
その終活で、大きな役割を果たすのがエンディングノートです。
実はエンディングノートを作ることが終活の柱になるので、メリットがとても大きいのです!
さて、エンディングノートには3つの役割があります。
1 自分の最期の希望を伝える

意識が無くなってしまったり、会話が出来なくなってからでは伝えられないことを伝えます。
具体的には延命治療をしたいかどうか、臓器提供の意思、献体の意思、希望の葬儀やお墓のことなど、自分の希望を正確に伝えるために書きます。
本人の希望がわかっていることで、残された家族が手続きや判断を下すときに悔いのない決定ができます。
これは家族にとっても精神的な負担を減らすことになり、とても重要な部分であると言えます。
2 死後の事務処理・遺産などの相続について

親子であっても、親あるいは子どもの全財産を把握していることは無いのではないでしょうか?
普段使っている銀行の通帳印鑑暗証番号はもちろん、すべての銀行口座、また加入保険の種類と数などに加えて、不動産なども含めた全部の遺産について、知っているのは本人だけということがほとんどかもしれません。
特に気にしたいのが借金の有無。
知らずに相続して大変なことになったという話も最近話題になっています。借用証書など詳細のわかるものも記しておきましょう。
また、インターネット上の財産のメールアドレスやブログなどのデータの消去・処分もしてもらえるように、パスワードを記録するのも大事です。
現在も仕事をしている方は、仕事の引継ぎが円滑に進むように対処が必要です。
自分一人に任されていることや、自分しか知らない暗証番号や置き場所なども書いておきます。
3 家族や友人へのメッセージ

遺された家族や友人に感謝の気持ちを伝えたい時にも、ノートは役立ちます。
面と向かっては言えないことも、文字にすると素直に伝えられますよね。特にエンディングノートは自分の人生を振り返りながら作成しますから、気持ちの整理もついてクリアな心持ちで書くことが出来ます。
澄んだ気持ちで伝えたい相手の顔を思い浮かべながらメッセージを書くと、それはきっと感謝の気持ちになるでしょう。
メッセージには、自分の希望を盛り込むことはおすすめしません。相手にとって重いメッセージはその後の人生の心理的負担になります。
最期の言葉は一方通行なものですから、メッセージは励ましや感謝の気持ちが一番ではないでしょうか。
また、家系図や自分史を含めるのもおすすめです。これは単なる自己満足ではありません。子や孫にとってルーツを知る手掛かりになりますので、意義がある内容です。
祖父祖母・叔父叔母・いとこ、もう少しさかのぼって、祖父母の兄弟や曽祖父曾祖母あたりの出生地や職業などを書いてみると、一族の職業系統などがわかって面白いものになります。
おすすめの書き方
おススメの方法は大きく分けて2つあります。
どちらを選んでも効力は同じですので、自分が始めやすい方を選びましょう。
ノートに手書きする

市販の「エンディングノート」に書きこむ
エンディングノートは、書き込むだけで作成できるものがたくさん市販されています。
わたしも大きな文具店に足を運び、何冊も読んで実際に5冊買いました。ほとんど内容は一緒です。
違いは、項目の分け方と、詳細部分の有無くらいでしょうか。
ですから、どの市販品を買っても大丈夫です。
自分が愛着を持てるデザインであることが一番の決め手でいいと思います。
購入場所は、文房具店や文房具コーナーのノート売り場、たいてい日記コーナーにあります。
種類はそれほど多くありません。
老舗文具店の銀座の伊東屋さんでも5種類あったかどうかです。むしろネットの方が種類を選べました。
値段は内容によって幅がありますが800~1500円の価格帯が最も多くなっています。
あまり詳細に書いても読むほうも疲れてしまいますから、重要なことを簡潔に書けるものが一番ではないでしょうか。
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ノートに自由に書く
エンディングノートには決まりごとはありません。極端に言えば、自分が伝えたいことだけ書いてもいいわけです。
ですから、市販のエンディングノートに書き込むだけの気力や時間が無い場合などには、大学ノートなどに自分が伝えたい内容に厳選して書きましょう。
そうは言っても書く内容はどんなものがあるか知っておくと便利ですので、どうぞ参考にしてください。→☆
インターネットを利用する

サイトやアプリを利用する
手書きノートもよいのですが、普段パソコンやスマホなどを使っていらっしゃる方ならクラウド上に残す方法も便利です。
インターネットの良い点は、何といっても書き直しが簡単なこと。
スマホなら、思いついた時にすぐ書けるところがいいですね。
すぐに始められる無料サイトをご紹介します。
●wordのテンプレート(無料)―マイクロソフトのワードに入っているテンプレートにエンディングノートあり
●『終活ライフ』無料でエンディングノートを作成ー大切な人にこのエンディングノートを作成していることを伝えるメールを送る機能付き
●『遺影バンク』無料で遺影とメッセージをお預かり―「その日が来るまで」遺影に使いたい写真データとエンディングノートを保存、有料オプションもあり
メールに添付して托す
パソコンのワードなどで作成したものがあっても、存在を公表しないと知られないと意味がありません。
家族や信頼できる人に「いざという時に開いてほしい」というメッセージとともにPDF形式にしたエンディングノートを添付して、メールで送信しておくという方法もあります。
まとめ
●エンディングノートには3つの役割がある
1.最期の時の意思
2.遺産、死後の事務処理
3.大切な人へのメッセージ
●ノートの書き方
1.手書きで作る
(市販の書き込み型ノート/自作ノート)
2.インターネットを利用する
(スマホやPCで作る)
最後に、エンディングノートと遺言書の違いです。
エンディングノートには法的効力がありません。
ですから、正式に財産分与などについて記したい場合は遺言書の作成が必要です。
しかし、まずは第一歩目としてエンディングノートから始めてみるのはいかがでしょうか?
自分の人生を振り返る、よい機会になりますよ!