「風疹」が大流行しているのをご存じですか?
国立感染症研究所の発表によると、首都圏を中心に2018年から風しんが爆発的に感染が広まっているのです。
感染者数の内訳をみると、なんと男性が8割、40代50代が中心です。実はこの世代は予防接種を受けていない人なのです。
そこで厚労省では昭和37~53年生まれの男性に風疹の抗体検査と予防接種の無料クーポンを配布を決めました。
無料クーポンはどこでもらえるのか、抗体検査の受け方、検査を受けれる病院をご紹介します。
風疹の抗体検査がなぜ必要なのか?
どうして40~50代の男性が風疹流行の中心なのか?
感染者のなかでも40~50代の男性が多くを占めています。この世代が風疹に感染してしまう理由は風疹に対する抗体保有率が低いから。
その理由は、昭和37年~53年生まれ男性はワクチン制度の関係で公的な接種を受ける機会が無かったからなのです(現在は予防接種法に基づいて公的に行われています)。その時代は将来の妊娠に備えて女子だけが受けていたんですね。
そのために昭和37年4月2日から昭和54年4月1日に生まれた男性は、風疹に対する抗体保有率が他の世代に比べてとても低いため感染しやすいのです。
この年代の男性は自分が風しんにかかり、家族や周囲の人たちに広げてしまうおそれがあります。
風疹とはどんな病気?
風疹とは、風疹ウィルスによって起こる急性の発疹性感染症です。主な症状として、発疹、発熱、リンパ節の腫れなどがあげられます。
まれに脳炎などの合併症が2000~5000人に一人の割合で起こりますが、ほとんどの人は1週間ほどの安静で治癒に向かいます。特効薬がないので対処療法のみになります。
感染源は感染している人の飛沫(唾液のしぶき)ですが、感染力はインフルエンザの2~5倍ととても強力です。そして、発疹の出る2.3日前から発疹後5日ほど長い潜伏期間があるため、自分が感染していることに気づかずに人にうつしてしまうこともあります。
また「不顕性感染」といって、感染しても高熱や発疹といった症状が表れない場合もありますが、これが本当は一番困るケースなのです。本人が感染に気が付かないうちに、周囲にウイルスを配っているようなものなのですから…
風疹感染の重大な問題は「母子感染」
風疹で最も重大な問題は、母子感染による「先天性風疹症候群」です。
これは母親(妊婦)が風疹にかかることによって、胎児が「難聴、心疾患、白内障、そして精神や身体の発達の遅れ」等の障害を持った赤ちゃんが産まれる可能性があるのです。
風疹のワクチンはウイルスの毒性を弱めた生(なま)ワクチンのため妊婦には接種出来ないので、周りに風疹感染患者がいたらとても危険です。
「妊婦の感染に注意」と聞くと、特に独り暮らしの独身男性・年配の男性女性などは自分と関係がないと思ってしまうかもしれません。
でも、もしかしたら。通勤電車に妊婦さんが同乗しているかもしれません。あるいは、ランチの後ろのテーブルに座っているかもしれません。
この年代の男性がこれから抗体検査を受け、必要な予防接種を受けると、免疫を持っている人が増え、風しんの流行はなくなると言われています。
クーポンはどこでもらえる?
無料クーポンは厚生労働省が担当省庁です。
お住まいの自治体から昭和37年~53年生まれの男性の自宅に発送されることになっています。
しかし!
自治体によって本人からの請求が必要だったり、対象年齢もちがっているとのことです。
もし届いていないようでしたら、住民票が登録されている市町村、もしくは区のほうに是非問い合わせて下さい。
クーポンの使い方は?
無料クーポンの使い方は2通り
パターン①
事業所検診や特定検診または住所登録地以外の医療機関で受けることもできます。届いたクーポン券、本人確認書類を検診会場や医療機関の窓口で提示して 受診します。
パターン②
住所登録地での登録医療機関で受ける場合は、クーポン券は必要ありません。本人確認書類を提示すれば、検査を受けることが出来ます。
抗体検査を受けられる病院はどこ?
抗体検査・予防接種を受けられる医療機関のリストは、2019年3月末より順次厚労省HPに掲載されています。
抗体検査は何をするの?
問診票に記入して、採血するだけ!
その後検査結果が出るので、郵送もしくは受け取りに行きます。
抗体が充分あればそこで終了。抗体が少なければ予防接種を受けます。抗体の値によって予防接種が1回か2回に決まります。
抗体価とは
風疹は一度かかると再感染はない病気です。風疹に感染すると、体内に「ウィルス血清抗体」が出来て風疹ウィルスを消失します。
そのウィルス血清抗体はずっと体内に残るので、その後風疹に感染する事はないというわけです。
ですから、ウィルス血清抗体を測定すれば昔風疹になったことがあるか、前に受けたワクチンは今も効いているかどうかが、わかるのです。
厚労省では検査の手段を「風疹HI抗体価」を基準にすることに定め、”8倍”をボーダーの基準値としています。
風疹はワクチン接種で十分予防できる!
実は、2012~2013年の流行の時には45人の後遺症を持った赤ちゃんが生まれ、そのうち11人が8歳未満で亡くなっています。
2019年にもすでに2例確認の報告があり、今後さらに増えるのではないかと言われています。
風疹は予防できる病気です。
自分自身と、これから生まれてくる世代の子どもを守るために、ぜひクーポン券を使って風しん抗体検査と予防接種を受けましょう!