身内が無くなった場合に、親族は一定期間「喪中」として喪に服しながら過ごす習慣があります。
喪中はおよそ一周忌までの期間を指します。
この間は、故人を忍んで冥福を祈り、お祝い事などの派手なことは慎んで過ごすことが習わしです。
ではこの喪中の期間にお正月を過ごす場合は、なにか制限があるのでしょうか?
今回は食べ物や飾りなどの日常生活の面で気を付けることをご紹介したいと思います。
どの様に過ごせばよいのか
基本的には喪中の過ごし方として、慶事を避け慎まやかに過ごす一般的な考え方と同じで大丈夫です。もちろん自重することも大事ですが、その時に応じて臨機応変に対応することが一番だと思います。
基本的には2親等までが喪に服すとされています。親子、祖父母と孫、兄弟姉妹などの間までになりますが、喪中が難しい場合もあるでしょう。常識の範囲内で、期間や範囲などその時その場によって応じて構わないと思います。
お正月の飾り・鏡もちはどうする?
門松や鏡もち、しめ縄などは神道の習慣なので、神道の忌明けとなる五十日以降は飾っても問題ないという意見もありますが、実際には正月飾りも鏡もちも控えるのが一般的です。特に家の外には正月飾りをしない方が良いでしょう。
お節料理・年越しソバは食べてもいいの?
「おせち料理」は喪中には控えましょう。
お節料理正月を祝うハレの日の料理だからです。
ただし、縁起の良いとされる食材(鯛やエビ、紅白のかまぼこなど)を除いて、普段の料理として質素に食べる分には構わないそうです。
また「年越しそば」は食べても構いません。
年越しそばは、厄を落とし長寿を願うために食べます。これは祝い事とは関係がないというのが、食べて良い理由です。
親戚へのお年玉はどうしよう?
お年玉は神様からの賜物の意味がある、ハレのしきたりなので渡しません。
しかし、子供たちにとっては一年に一度の楽しみでもありますよね。
祝いの袋などを使わずにお小遣いとして渡すなど、大人の知恵で工夫してあげるとよいかもしれませんね。
ご挨拶・お歳暮はどうすればよい?
年賀状は喪中はがきで対応します。
遅くとも12月初めまでに、年賀はがきを辞退する旨を記して喪中を知らせます。
それでも届いてしまった年賀状には、松の内(1月7日)を過ぎてから寒中見舞いを出します。
また人に会う機会も多くなる時期ですが挨拶言葉にも気を付けます。
「あけましておめでとうございます」のかわりに「今年もよろしくお願いします」と言葉を選びながら、さりげなくお祝い言葉を避ければよいと思います。
後々の会話が気まずくならないためにも、自分から喪中であることを伝えた方がマナーとしても良いでしょう。
お歳暮はやり取りしても大丈夫です。感謝の気持ちを込めた季節の挨拶ですので、喪中とは関係ありません。
紅白の水引やのし紙を付けずに、無地の包装紙に包んで差し上げます。
百貨店などでは専用の包装紙が用意されていますので、頼んでみてください。
初詣は行ってもいい?
初詣には神社に行く人が多いと思いますが、神道の中でもいくつかの考え方があり一概に行って大丈夫とも駄目であるとも言えません。
死は穢れであるという考え方を重視するなら一年は参拝を避けるべきであり、一方神道の忌中である50日を過ぎれば構わないという考え方ならば参拝は可能なのです。
しかし宗教の問題は、ちょっとした認識の違いが大きな溝になってしまうこともあります。やはり「初詣は慶事である」と考えて神社は控えた方がよいかもしれません。
なお、お寺に新年に詣でることは問題ないと一般的には考えられています。
いつもは新年には行かない人も、喪中の時にお墓参りを兼ねてお寺に詣でるのはいかがでしょうか。
まとめ
今回は様々な角度から、喪中の際の年末年始の過ごし方をご紹介しました。
決まり事やマナーも大切ですが、喪中で大切なのは故人を偲ぶ気持ちです。自分ではよいと思った行動でも、他の人の思いを害する結果になるのはとても残念なことです。
昔に比べ、今は喪中も普段通りに過ごすことが多くなりました。
ですが特に年配の人との関わり合いが多くなる正月は、しっかりとマナーを意識し、喪中に相応しい振る舞いで過ごしてはいかがでしょうか。